神の島 〜3〜

タクシーで島内を回ってもらえることとなり、ガイド付きのプチ観光ツアーと相成った。

壱岐と言えばこれまで述べた米や麦などの農産物のみならず、海に囲まれた島である以上漁業も盛んなはず。

しかし近年は様相が変わってきているのだという。

昔は漁港に船が犇めいていて、出漁するのに他の船にどいてもらって通り道を作らねばならないほどだったらしい。

が、現在はどこの漁港も空き空きで、特にイカ釣り船などは残り数隻という有様とのこと。

温暖化の影響と、中国や韓国の船が遥か沖合で稚魚を根こそぎ浚っていくので、昔ながらの漁業は成り立たないのである。

運転手さんも、漁民から職替えせざるを得なかった事情を語って下さった。

半面、以前は壱岐で水揚げの無かった鮪が揚がることが増え、中には大物を三度も釣り上げて40台で家を3軒も立てた名漁師も出現したとか。

壱岐には神社が実に多い。

タクシーの窓外にも、また港町を散策中にも、そこかしこに神社の鳥居を見かける。

神社庁登録社だけでも150を超えるというから驚きだ。

壱岐を「神の島」として観光アピールしたりしているのも頷ける。

前回書いた天手長男神社以外に、正一位稲荷大明神や、全国の神社の嚆矢とも言われる月讀神社などにも参拝でき、感無量のツアーとなった。

が、私の印象に強く残ったのは、「神の島」についての運転手さんの一言だった。

壱岐はね。水が豊富なんですよ。私は50年以上生きているが、水不足は聞いたことすらない」

離島なのに水が豊富というのは奇跡に近い。

「この水があるからこそ、代々の住民は神の島なんて呼んだんかもしれないですわ」

常に人の争いの種となった水に不自由しない、いかにも日本らしい事情が、この小さな島を神の島としたのではないだろうか。

そんなことを考えながら、いよいよ私の旅も最後を迎えるのだった。

左:何と諏訪の御柱があった!神の街同士、壱岐と諏訪は姉妹都市とのこと。それで送られたのだ。

中央:正一位稲荷大明神。勝本城跡に鎮座されている。あまり人の手が入っていないような周囲の雰囲気だが、却って由緒を感じさせるようだ。

右:五百羅漢…?と思ったら、何と全部お猿さん。ここは男岳神社。中には数頭の牛が混じっている。近年大ブレークした壱岐牛のおかげで儲けた酪農家さんの寄進だという。

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