外国映画に私のベストテン級が続々

4月13日(木)  立川シネマシティ

「ゴースト・イン・ザ・シェル」(ルパート・サンダース

ヴィジュアルがまず素晴しい。ヒーロー(?)スカ・ジョハのボディ・ライン丸出しの肌色スーツ絶品!。アクションもさらに絶品!!。東洋と西洋が混然一体となり、ホログラムの広告塔が乱立する未来都市。「ブレードランナー」を越える素晴しい映像だ。ビートたけしが日本語しか喋らないのに会話が成立するのも異世界効果を増幅する。(これはキム・ギドク「悲夢」なる前例はあるのだが…)科学を力に世界を支配せんとする企業人、その板挟みの果てに科学的興味に流される技術者。「水戸黄門」的ハッピーエンドには異論も出ようが、私は、未来に向かって、科学技術をコントロールして行きたいとのポジティブな視点は支持する。ちなみに、私はオリジナルにはほとんど愛着がない。押井守のダークなアニメ映像が、趣味でないからだ。やはり、この手の世界は、ヴィジュアルの「好き嫌い」がすべてになるのだろう。(よかった。ベストテン級)

パッセンジャー」(モルテン・ティルドゥム

5000人の冬眠乗客を乗せ、120年の旅で新天地の惑星を目指す大型宇宙船。しかし、30年後に一人だけが、90年を残して何故か目覚めてしまう。これは大パニックの予兆なのだが、ここから先の怒涛の展開は言わぬが花だろう。ラストは、ハリウッド的な永遠のラブロマンとして洒落ているが、私としてはトム・ゴドウィン「冷たい方程式」+梶尾真治「美亜へ贈る真珠」のセンス・オブ・ワンダー溢れる幕切れを匂わせる予感もあっただけに、やや残念だった。(よかった)

「ライオン 25年目のただいま」(カース・デイヴィス)

5歳でインドの田舎町で、ひょんなことから回送列車に乗り込んで迷子になり、幼児だから名前も土地名も片言で、孤児として施設に放り込まれ、オーストラリア夫妻の養女となった男が、奇跡的に故郷に帰還するまでの実話美談。実話だから、別に何も言う事もないけど心地良い。ニコール・キッドマンの養母が、自分が子を成すよりは、辛い境遇の子を育てる方が意義深いとの、志の高さに感銘する。グーグルアースの存在、航空写真の検索の果てに、帰還に成功する顛末。幼児の頃は路地の隅々まで遊び場で、決して忘れないというのが決め手になるあたり、しかも、町が全く変化がなかったとの、ITと現実との奇跡的な交わりも感動的だ。でも、孤児院から救い出すのが、その子の幸せという観点の発端は、昭和30年代の日本の感覚だが、この映画のスタートは1986年、平成直前だ。でも、ユニセフが支援するこの映画なのだから、インドの現実としてこういうことは今でもあるのだろうか。(まあまあ)

 4月15日第三土曜日、月例「映画友の会」で、友達のコウちゃんと、前々回の日記で取り上げたプロレス総選挙を話題にする。ベスト20の後一人は?との私の問い掛けに、即座に「ハルク・ホーガン!」と帰ってきた。

 確かにホーガンが猪木を失神KOした試合が紹介されていた。当然、これは猪木コーナーのはずもなく、ホーガンコーナーだ。これでスッキリした。持つべきものは「映画の友」ならぬ「プロレス者の友」である。

 でも、これで外人がハンセン、ジャイアント、ホーガンの3人。前二者は新日・全日の両団体で活躍したが、ホーガンは新日のみ、やはりテレ朝番組だなあと、思わざるをえない。

4月19日(水)

 山野ホール  試写会

「八重子のハミング」(佐々部清

若年性アルツハイマーの妻を癌の闘病をしながら12年支えた夫の実話だが、これをもって何を言いたかったんだか、もう一つピンと来なかった。歳を取ってくると、わざわざこんなもの映画で見たくないよなあ。(あまりよくなかった)

 Bunkamura ル・シネマ

「未来よこんにちは」(ミア・ハンセン・ラブ)

仕事にも夫にも一男一女の子供にも恵まれ、夫の別荘で楽しくバカンスを過ごす冒頭。しかし、時の経過と共に、様々な形で家族が解体されていく。小津映画が真髄を極めた家族の切なさと煌めきが、ここでもキラキラ輝く。「一緒にいるのは鬱陶しい。でも一人でいるのは寂し過ぎる」(よかった)

4月20日(木)  上野オークラ劇場

「痺れる若後家 喪服のままで…」(坂本太)

未亡人がオナニー。覗き見た義弟の猥らな妄想。嫉妬に狂う彼女との激しい情事。カウンセラーと未亡人の治療と称したSEX。濡れ場以外は何もない典型的Xcesピンク。こうなると、後は女優の魅力しかないが、私はあまり感じなかった。「喪服妻悶絶」の新版再映。(あまりよくなかった)

「揉んで揉乳〜む 萌えっ娘魔界へ行く」(渡邊元嗣)

マンガ家志望の引きこもり気味ジャージにドテラを羽織った眼鏡処女ブスが、魔界の王子に恋をして魔女と争う。元嗣流ブッ飛び世界だが、展開は案外と凡。でも、眼鏡っ娘の佐倉絆の個性はユニークで、ピンク大賞新人賞の有力候補になりそうだ。(まあまあ)

4月21日(金)

 新宿武蔵野館

「午後8時の訪問者」(ジャン・ビエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ)

休診時間直後に、少女が診療所のチャイムを押すが、いろいろ事情があってその時の担当女医は無視する。防犯カメラに納まっていたその少女が、翌朝に変死体で発見され、身元不明で無縁墓地に埋葬される。責任を感じた女医が、何とか身元を確認して遺族に伝えようとアクションを起こす。しかし、そこから都会の闇が口を開けてきて…。ミステリーだからこれ以上は言わないが、彼女の善意が、最終的に関係者の善意を呼び覚ますことになる大団円は素晴しい。甘いとか言う人も出そうだが、例え嘘でも映画はこうあるべきだと思う。(よかった。ベストテン級)

 一ツ橋ホール  試写会

「カフェ・ソサエティ」(ウディ・アレン

1930年の黄金時代のハリウッドが前半、後半はローリングトゥエンティのムードが残る狂乱と繁栄のニューヨーク。二つの大戦にはさまれた束の間の享楽と平和の時代を、ウディ・アレンが趣味に淫して華麗にたっぷり描く。ハリウッド嫌いニューヨーカーのアレンにしては、意外にもハリウッドを辛辣に描いていないのは、もはや枯淡の境地か。男も女も、恋に二股三股をかけて、ホントに人間ってショムないなあと思うが、そんな人間が愛おしくなるアレン節である。(よかった)、

 ここまでで、今年のスクリーン鑑賞初作品は106本。